スマホで天体望遠鏡撮影



【2020年05月】

「月が綺麗」と言われた。
「んじゃ撮ったるか!」と言った。

うちには子供が小さい頃に買ったバカでかい望遠鏡がある。
むろん子供用だから本格的なモノではないが、25年前にホームセンターで定価93,000円のところを34,000円で買った記憶が残る望遠鏡は子供らが独立して家を出ていった今でも部屋の粗大ゴミとなったままであった。

それを引っ張り出して組み立てると六畳間の1/4を占めるほど邪魔な存在だ!

さて、どうやって撮影するかなぁ〜・・・・・。
フィルムの一眼レフカメラに凝っていた頃は天体撮影も出来るようにカメラアダプターを揃えていた。
でも、もう一眼レフ使ってないし、そもそも今どきフィルムなんて売ってるのか?
何かめんどくさい・・・・

取り敢えず「望遠鏡 撮影」でググってみる。
すると不思議な形の器具が一杯出てきた。
何だ?これ?
読んでみるとスマホで望遠鏡の撮影が出来るアタッチメントではないか!

なるほど!
望遠鏡を使った撮影は「特殊な機材を使って一眼レフで撮るもの」との固定観念が頭を離れなかったので「スマホで撮影」は震えるほどの好奇心をそそった。

しかも当時のアダプタは重厚な金属で出来ていて数万円の代物だったのに対してこちらは千円程度。
気が抜けるほど安い。

世界中の人々が願う事って同じなんだな。
しかも現時点で存在している機器を駆使してその想いを実現しようとする頭の回転に敬服以外の何物もない。

amazonの写真を見て使い方を会得するもの触ったこともないので良し悪しが判らない。
取り敢えずは星が一杯付いているものを選んでみる。

amazonで正体不明のものを買う時は評価数が100桁以上の商品の中から選ぶことにしている。
いくら星5つでも評価数が少ない場合はその殆どがサクラだからだ。

5/8に1,580円で買ったものが5/30には1,860円になっている。
変動が大きい商材なのか?

なるほど。
スマホのレンズ位置を考慮してX軸とY軸に可動できるようになっている。
しかも音量ボタンがカメラのシャッターも兼ねているために、そのボタンを避けてフックするように作られている。
しかもしかもネジ溝までがプラスチックの射出成形で出来ているから安価で量産できる。

つくづく賢い人間が世の中には居るものだ。
商売で成功する人間とはこうした閃きを持ち、尚且それを即実行する人物の事を差すのだろうな。

接眼レンズ外径が28mm〜47mmと少し大きめになっていて、半世紀前のオモチャレベルのレンズ口径ではチト辛いか?

アダプタが到着してから20日余り。
関東の夜は全く晴れに恵まれず、来る日も来る日も曇りと雨ばっかり。

やっと晴れたと思っても時刻が合わずに良好な画角が取れなかったり、時間が遅すぎて耐えられずに寝てしまったり・・・。

それでもまぁ、頑張って撮影してみたわさ。
汗びっしょりになりがら・・・・えっ?何で?

自宅からこの季節の月を綺麗に捉える高度は、丁度向かいの家の屋根の上くらいである。
暗闇の二階のベランダからそこに向けて大きな望遠鏡を弄ってるオヤジが居る。
しかもシャッター音が夜の閑静な住宅街に響く・・・・。

・・・完全に盗撮体制ではないか!!

しかも余計なところでスマホのボタンに触れてしまい、いきなり明るいライトが点灯したりして「あわわわっ!ドン!ガシャン!」ってまた物音が響く。
もう全身汗びっしょりである・・・・。(何て小心な!)

この写真は焦点距離920mmに対してKE型12mmの接眼レンズを使用。(→)
計算上は920/12=76倍率となる。

アダプタと接眼レンズの間に10mm程度の距離があるためピント合わせが難しい。
またシャッターボタンに触れるだけで揺れるのでピントが合い次第連写する事になる。

これも一眼レフ同様にレリーズ式にリモートで押せたらいいな・・・・と思ってググってみたら案の定・・・・。

Bluetoothのリモコンシャッターが480円。

すげ〜な!
もう何でも有りだな。

こちらはOR型5mmの接眼レンズで計算上は920/5=184倍率。(→)

このくらいの倍率になるとちょっと目を逸すだけで月が視界から消えてしまうので追うのが大変!
まさに地球が回転をしている事を体感する瞬間だ。

しかしスマホを接続すると「覗き込む」から「眺める」に変わるので、スマホ画面を見ながら2つの赤緯ハンドルを操作できてとても楽になる。

それにしてもスマホを経由した写真と実際に肉眼で見えている様子ではその解像度に大きな差異があることに驚く。
実際に接眼レンズから覗いているほうが遥かに鮮明に見えるのだ。
もしかしたら感度を上げてシャッター速度を上げれば目視に近い写真が撮れるのかもしれないな。

こちらもOR型5mm。(→)

やはりピンが甘い。
この辺が限界なんだろうな。

とは言え、たった千円台のアダプタによって身近なスマホが超望遠カメラに変身するのだからこれでも十分だろう。
同様に顕微鏡に接続すれば超接写カメラに変貌する訳だ。

こんな安い知育玩具はなかなかありませんぞ!(望遠鏡持ってる前提だけど)
もし小さいお子さんが居ましたらこんなスマホ画面を観せるだけできっと喜ぶと思いますよ〜!

(おしまい)