
製作意欲はいつも感動から。
これは幾歳になっても衰退する類のものでは無いわな。
オンラインの模型屋から届くメールにはお勧め商品のリストがあって見るとも無く見ている。
今回この中に見つけた「1600GT」の文字。
「ん?最近はテンロクのGTなんて無いよな!?」
と、リンクサイトに行ってみると「カローラ1600GT」とあった。をっ!!
18歳でスカイライン2000GTを手に入れた。
当然Rではない只のC110型2ドアハードトップのケンメリだ。
棺桶ヘッドと同様に室内も棺桶のように暗く視界性が悪い事からイマイチ受けが良くなかった。
20歳でダルマセリカ1600GTに乗り換える。
小さいボディながらもヤマハ2T-G搭載の1600GTはメッチャ速く感じられ最高のお友達になった。
今思い出しても冷や汗ものの公道レースもこの車が相棒だった。
23歳でカローラ1600GTに乗り換える。
2T-Gが大好きだったのでその移植を受けた4枚セダンで大人になったつもり!
ただ4人乗ると重くて走りに精彩を欠く始末。
一人で軽くスポーツ走りするか、もっとパワーを求めるか・・・・。
24歳でコロナ2000GTに乗り換える。
2T-Gのボアアップ版!18R-Gの4枚セダンは完全に「羊の皮を被った狼」だった。
大人し目の白いセダンがDOHCって!・・・・って痺れまくったものだった。
この時すでにカローラはTE71からAE86に移行しておりスポーツタイプではDOHC16バルブは普通だったので、DOHCエイトバルブ!などと揶揄されながらもかっ飛んでくれた自慢の車だった。
25歳で「やっぱりスピードが好き」って事で公道からサーキットに移る。
さすがにテンロク車両をベースにするお金は持ってないのでスターレットEP71でレーシングカーの製作。
楽しかったけど・・・・やっぱ1300ccじゃ遅いわ!!でもお金無いわ!に気づいて引退。
その後はADワゴンやらモビリオやらフィットやらのお買い物クルマ・・・・で現在は息子の軽自動車(F6A)をたまに借りて乗ってたりする・・・・。
という訳でノスタルジーに想いを馳せて久しぶりにモデリングしてみよう・・・・と。
しかしこの製作記に至った「感動」はまだこの段階ではない。
んじゃTE71ってググってみたら何か出てくるかな?・・・・って探してみたら、ボロボロに錆びたminiの画像が出てきた。
「うわっ!酷ぇ〜な!このスバル!可哀想に・・・」
「ん?でも何か違和感・・・」
よく見てみるとそれは実車ではなく模型=ジオラマだった。
「え?それにしてはよく出来てるな!」と見入ってしまう。
「すっげ!このサビサビ感は何だ!この悲哀感は何だ!すっげ!」
すっかり魅了されてしまった。
プラモデルといえば前回は電飾白バイに魅惑されてCPUを組み込む事に夢中になった。
それ以来に夢中になれそうだ。
ただやるからには「真面目に遊ぼう!」が心情である自分としては、何時ものように広い見識を習得するところから始める。
ステップ1:そもそも金属における錆とは?
・錆とは
・錆に必要な要素
・錆の種類
・塗装との関係
ステップ2:立方体における錆の形状について
・形状における発生箇所の特徴
・重力における形状の特徴
ステップ3:錆を意識したボディ形状と配色について
・形状は決まってるか・・・
・目的は錆を強調!
ステップ4:金属以外の部分について
・ガラス、プラスチック、タイヤ部分の経年化対応
ステップ5:ジオラマ化
・それやる?
【ステップ1】そもそも金属における錆とは?
先ず、自分が機械工学科出身で金属工学と材料力学の教育を受けた立ち位置(どんだけ前の話じゃ!)から記すると「電気が通る物質は錆びる」と定義してよい。
そもそも論で、金属とは元素周期の1〜12族と陽イオン(カチオン)が自由電子を有する結晶体を指す。
簡単な話、鉄という原子に1個の電子が張り付いていて、それが整然と整列している場合においては、固くて強い物質となっている。
このまま外部から何の刺激もなければ鉄は永遠に錆びない。
しかし!世の中そう甘くないのだ!
地球上の空気には湿度という概念があり水分が存在する訳だ。
鉄の表面は常に空気に触れている訳で、つまりは常に水分に触れている。
それでも低い湿度の場合はなんとか均衡を保っていた関係も梅雨などの多湿になると様相が一変してくる。
@水分が多くなると鉄に張り付いていた電子が浮気をして水分と深い関係になってしまう。
A電子を奪われた鉄は取り戻そうとするが、一度浮気をしてしまった電子はすでにあの頃の純粋な気持ちの電子ではなくなってしまっている事に鉄は気が付かない。
B無事に電子を取り戻したかに見えた鉄だが、湿度が下がり水分が抜けると、心変わりしてしまった電子の影響下で自分自身が酸化鉄という思想に染まってしまっている事に気づいていないのだ!
・・・・あ〜面倒くさい話になってきた・・・・。
@Fe + e- ⇒ OH- + Fe2+
AFe2+ e+ ⇒ Fe3 ⇒ Fe3+ + OH- ⇒ Fe(OH)3
BFe(OH)3 − H2O ⇒Fe2O3
という事で、このFe2O3を一般的に「錆」と呼ぶ。
鉄における錆の種類は赤錆と黒錆の2種類があるが、黒錆は加熱などによって故意に四酸化させたものであり、自然酸化させたものとは異なる。
よって酸化鉄(Fe2O3)である赤錆だけと考えてよい。
要は「種類的には赤い色した錆だけであって、その深度によってちょっと色が異なる」だけと考えればよい訳だ。
日本に住んでいる限り湿気との戦いである以上、錆からは逃げられない。
そこで考えつくのが「だったら空気(水分)に触れなければいいじゃん!」であり、その成果が塗料による空気からの分離である。
現在、自動車においては4〜5層の塗装が施されているが、ベースとなる基本皮膜はカチオン塗装によって施されている。
カチオンとは先の例にあった+イオンの事で、陽イオン(カチオン)を帯びさせた顔料のプールの中に陰イオン(アニオン)を帯びた鉄(ボディ)をトプッ!と漬けて電流を流すと陰イオンに向けて陽イオンが一斉に吸着し始める。
この時に顔料が不溶性樹脂に化学変化を起こして膜を作る訳だ。
実際にはこの上に衝撃用皮膜や紫外線用皮膜を重ねて塗布し完成となるのだが、その厚さは合計しても0.1mm程度でしかない。
完全にボルト締めした後から厚さ1mmで塗っちゃえば絶対に錆ないであろうが・・・・重くなるじゃん!遅くなるじゃん!燃費悪くなるじゃん!高くなるじゃん!・・・・・で却下なのである。
だから0.1mm以上の深手を負ったボディはその瞬間に鉄と空気が触れ合って錆始めると考えて良いのだ!
ちなみに通電しない非鉄金属であるアルミ等は錆びではなく「腐食」といってこれとは区別している。
【ステップ2】立方体における錆の形状について
さて、錆の理屈は解った。
それでは実際にはどんな場所にどんな感じで錆が発生しているのだろう?
ググるといい感じの錆が一杯あるではないか!
http://car-me.jp/articles/3851
http://churasan8888.ti-da.net/e4884254.html
http://www.do-blog.jp/ralph/article/1374/
http://img01.ti-da.net/usr/r/y/u/ryubokumin/IMG_6913_R.JPG
http://www.migakikoubou.com/4909
なるほど・・・しかし錆びたボディをこれだけマジマジと見たことが無かったな。
現状から判断できるポイントは4点。
@パーツの端っこや角に多く発生している⇒端や角は擦れたりぶつけたりで塗装が剥げている箇所が多い⇒空気に触れる可能性が高い⇒つまりは角や端っこを重点的に攻める。
A腰下に集中している⇒飛び石や泥・埃・水たまりなどで、わずかでも傷ついた部分が酸化される可能性が高い⇒下から上に向かって侵食が進むと考えて良い。
B上から下に錆が流れている⇒雨が降ると重力によって上から下に水が伝うが、その際に錆た酸化鉄が酸素に触れて溶解し微細な粒子となって水と一緒に下に向かって流れる⇒立方体の側面に発生した錆の場合は下に向かって錆の筋が出来るのが自然。
C錆の面積を大きくする場合はプラスチックの滑らかさが臨場感を損なう気がするので100番台のヤスリで表面を削るといった施しが必要かも。
それと余り激しい錆は単純に見窄らしいだけでかえって臨場感を損なうと判断し、軽めでポイントを突いた錆をターゲットにしてみよう。
特に上面と側面の中央部(端を除いた部分)は偶然の飛び石によって出来た傷から発生した想定で、強調しないで小さく表現してみよう。
【ステップ3】錆を意識したボディ形状と配色について
ボディ形状に関しては、今回はTE71有りきなので決まっているが、やはり丸みを帯びた形状よりは箱型のほうが「然もありなん」であろう。
色に関してだが、おそらくいちばん難しい色は白だと考える。
有色ボディと違って、薄いグラディエーションの部分に誤魔化しが効かない事から、錆の本質がそのまま表れてしまうが故にリアル感を出せなければ単に汚いペイントになってしまう可能性があるからだ。
【ステップ4】金属以外の部分について
@ガラス
「苔と曇りによる透明度の低下」くらいなのだろうが、これらの指標はどこにもない。どうしよう・・・・。
Aプラスチック
・テールやウィンカーのレンズ
・ウレタンバンパー
これも指標が見つかっていない・・・・。
Bタイヤ
パンクを表現したい。
普通にパンクするとペタッと低くなっておしまいなので、これだけはデフォルメが必要な感じだ。
ちょっと横に広がって盛り上がって潰れている感じ・・・・おしらくパテで盛って成形になるのだろう。
【ステップ5】ジオラマ化
正直この分野に手を出した事がない。
要はセンスの問題で自分にはその感性は無いと思っている。
もしやるなら長期戦に備えて、ケースに入れて保存し、知識を積みながらアイデアを広げていきたいと思う。

早速購入する。
2個・・・・何で?・・・・それは喜びと哀愁を表現したいから。
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ずっと欲しかったクルマを手に入れたドキドキと喜び、それからクルマと共に成長する自分、そして喜怒哀楽を共にしながら何台も乗り継いできたクルマ達。
時が過ぎクルマと過ごした日々を忘れかけていたある日、偶然通り掛かった解体屋で発見した見覚えのあるクルマ。
しかしそこに居た青春を共に過ごした宝物は、艶やかなお化粧は落ち、かしこも変形し、錆と苔に埋もれていた。
過ぎ去った青春の日々を回顧しながら、しかし2度目には愛おしく見守る事が出来る自分が居た・・・・。
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なんつ〜テーマはどうかしらん?
おしまい。
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